A. 強化のための3局面
より強く、より速く、よりうまくの概念がパワートレーニングということになります。
パワートレーニングというとウエイトトレーニングの比重が大きくなると思いがちですが、実は①ベーシック・パワートレーニング②トランスファー・パワートレーニング③スペシフィックパワートレーニングの3つの局面から構成されています。
①はウエイトトレーニングで、基礎的は筋力アップを計ります。②はジャンプトレー
ニングで筋力を動きの中で生かす。③は競技特性を考慮してトレーニングする。
つまり、素早いターンを②で獲得できても、これを制御できる①で得られる筋力が不十分であれば怪我を引き起こします。また、必要以上に筋力と筋肉量が増えては、③に影響が出ます。
B. 走り込みで下半身を強化できるか
走り込みで筋力と持久力を得ることは、古くからのトレーニング方法です。直線的な運動である陸上選手には有効であっても。複雑な動きが必要な競技では、直線的は運動能力の獲得は競技力の妨げになる場合があります。持久力も直線の動きの中のみで得るのではなく、競技特性を考慮してその獲得方法を考える必要があります。
C. 選手の自覚疲労度を可視化する
プロの競技は数か月もシーズンが続きますが、序盤・中盤・終盤ではその身体的状態に変化が起きます。疲労度が高いにも関わらず、練習量に変化がなく、コンディションが落ちていき、ついにはパフォーマンスが落ちて怪我をする。チーム全体で可視化できるデータ(血液検査、体力測定、コーチとの会話、食物摂取量、睡眠時間等)で管理しなければなりません。
D. そもそも、強化とは
身体に負荷をかけて、練習をすることを強化と呼んでいる場合が多いことは、これまでの認識ですが、これは疲労を残してでも筋力を鍛えるという悪しき習慣です。強化によってパフォーマンスが落ちていけば、当然これは強化にはならないはずです。
強化トレーニングで充実感を感じることよりも、パフォーマンスがどれだけ改善しているか考えなければなりません。
参考:谷 真一郎 コーチングクリニック 10月号 2021年